タグ:三村珈琲店 ( 9 ) タグの人気記事

三村珈琲店

b0133939_1312474.jpg


とても眠かったけれど

午後から
三村珈琲店に
行くことにしていた

午前中
フラワーアレンジメントをして
それが
イマイチの出来で

まあ
こんな日もあるさと




妹が一緒だったので
何年かぶりに
二人で店を目指した


たまには
ひとりじゃなくて

誰かと行きたくなる


ついでに
彼岸花を撮りたかったので

カメラも持って

霧雨のしっとりとした
空気を切って
車は走る




土曜の午後は
結構
混んでいる

大きなソファを二人占めしたけれど
すぐにお客さんがやってきて
二人席へ移動した

人がいても
せせこましくない

ちゃんと
プライベートが保てる
計算された店内で

会話を邪魔しない
BGM



この店で
一人ではできないこと

それは
ケーキのシェア


チーズケーキと
バナナケーキと
スコーンも頼んでしまった

ちょっと多い
けれど

二人で
喋る
食べる

喋る
食べる

そして
カフェオレ(私)とチャイ(妹)を
ひとくち

また

喋る
食べる
喋る

をしていたら
ちゃんと
食べきれる不思議


あっという間に
夕暮れ時になってしまって

急いで会計を済ませる


実家までは 1時間
そして
私の家までは もう1時間



この日は

夕食の準備が

大幅に
大幅に

遅れた
[PR]
by michel-nano | 2016-10-02 13:27 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_22502059.jpg


日曜の午前中は

ねらい目

お客さんがきっと
少ないから


夏の日差しに
木々の濃い緑の葉が じりじりと焼かれる
吉井町の山々の そばの清流では
川遊びや バーベキューを楽しむ
家族連れが目立つ

ああ だからか
今日は車がいつもより断然多い



お店はがらんとしていた
やっぱりこの時間にして良かった


奥のテーブルについて
蝉時雨と馬追いの歌を聞きながら
くつろいでいると

「こんにちはー」
と子どもの声

「ほろ君 居らんのんよ」

このお店の
二人いるお子さんの
弟君だ

聞くと
店の主人であるお父さんと
彼のお兄ちゃんは
インドに自転車の旅 真っ只中とのこと

「そうなんじゃー  きり君はお母さんと留守番なんじゃなー」
と返すと
なぜか誕生日を教えてくれた

近々7歳になる彼が
生まれる前から
この店に通いつめてるんだよー
私は



奥さんと弟君の
ほのぼのとしたやりとりを聞きつつ
エチオピアモカとバナナケーキを
ゆったりと待つ

スケッチブックに鉛筆を走らせ
なんだかフニャフニャの線だな
とか思いながら

そいうえは最近 絵を描いてないな
と気づく



ひさびさに
本当にひさびさに

日々の生活から
一歩離れた心持ちで過ごした


来たい来たいと
冬から思っていたのにな
すっかり
夏も深まってしまったな


忙しない日常に
少し心折れて

ひっそりと
逃れてきた今日


変わらずここにある
この店に癒されながら


でも
たぶん
変わらないものはないと
確信する


ここだって
少しずつ変化しながら
進化しながら
この
懐かしさを
しっかりと保っている

保とうと努力している

珈琲の香りを
脳の奥で感じながら
同じ部分で
そう感じた


変わる

この季節も
もうすぐ終わる
すぐそこに
恋とおんなじ密度をした

秋が
やってくる





[PR]
by michel-nano | 2016-08-01 23:13 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_19572198.jpg

スケジュールが空いたので

平日の三村珈琲店を
ひとり 訪れた

雨上がりの木々は
葉っぱを
ぜんぶ洗い流されて
裸んぼうになっている

しっとりと息をしながら
毛細血管のように
空に伸びる枝を見ながら

私も
冬の湿り気を
吸い込んだ


月曜日の昼下がりは
意外
お客さんが二組ほど居て
今日は 小学校がお休みなのか
二人のお子さんもくつろいでいた

少し賑やかな店内

私は
奥の二人席に腰かけて
本を選んで

注文した
ニルギリとスコーンを
ゆったりと待った

店に 二台ある
薪ストーブの小さい方も
赤く燃えていて

じんわりと
暖かい空気を運んでくれる

今日は
十二月にしては気温が高いから
ひざ掛けは いらないかな


運ばれてきた
紅茶とお菓子

本のページをめくるたび
小麦粉の香ばしい匂いと
苺ジャムと生クリームの甘い香りが
鼻先をくすぐる

乳白色の器から立ちのぼる
ニルギリのすっきりとした湯気を
向かいの黒いソファーに透かしてから
ひとくち

それから

スプーンで苺をすくって
生クリームをもったりとのせたスコーンに
落としていただく


ああ

ブルーマンデーを
忙しなく過ごす
世界中のみなさま

ごめんなさい


私は今
至上の隠れ家で

こんな幸せを

ほおばっています






[PR]
by michel-nano | 2015-12-21 20:10 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_19255328.jpg
休日

早朝のジョギング後に 二度寝
次に起きたら 大寝坊
でも 仕事をしようと支度をはじめる

その日は 職場から向かおうと思ったから


日が短くなった

街灯の少ない 薄暗い道を走る

さみしくて さみしくて
そのさみしさが とても心地よくて

死んでしまった人のこととか
出会った人のこととかを
思い出していたら 
店に着いた


その日は先客がいた

私と同じく おひとり様が多め
後から二組ほど来て
少し にぎやかな店内
こんなかんじは久しぶりな気がした

店主と会話を楽しむ人には カウンター
じっくり本を読む人には 奥の備え付けのテーブル
友人とお喋りするなら 中央のテーブル

それぞれが それぞれの楽しみ方をしている

私はピアノ近くの二人掛けに腰かけて
そろそろ出ているかと狙っていた
栗のクグロフを注文
それからイエメンモカを頼んで
BGMのJAZZに耳を傾けた

本棚にある 大量の本の中から
「薬草全科」を手に取り
それを片手に
遠くにいる 一番大事な友達にメールを送った

「いま三村珈琲店にいます」




[PR]
by michel-nano | 2015-10-13 08:00 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_02829.jpg

16時の西日に射抜かれて
濃い緑の影が山肌を撫でる

キジやヤマバトが飛び立って
そのあとの静けさに
あおく光るシャガがぽつぽつと灯る


今日も
山をこえてあの店へ


この春からの忙しさに
疲れきっていた
だから少し
行くのをためらったのだけれど…


ドアを開けると
でも

いつもの豆の匂いと
期待通りの空間に
やっぱりほっとする


席について
ひたすらぼーっとして

バナナケーキと
アイスカフェオレが
半分ほどになったとき

ふと
「恋」を自覚した

 私は恋をしている

この白い皿に走る緑に
生クリームに浮かぶミントの葉に
赤くてつるりとしたスプーンの曲線に
グラスの凹凸に翻弄される光に

 私は恋をしているのだ



カフェオレを飲みほしたグラスの底に
とがった花の模様が浮き出て

BGMのサックスの煙った音が
机や壁や床に染み込み

外の光よりも電球のオレンジが勝つころ


息をひそめて
吸い込んだこの空間の香りを
胸にとどめたまま

店を出た


「月がでてますね」

店主の言葉に空を仰ぐと
山の上には
南中を待つ月が
千切れ雲を制していた
[PR]
by michel-nano | 2015-05-02 22:00 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_10372564.jpg
三村珈琲店にハズレはない

そして たまに
大アタリをひくことがある

陽が落ちて
冷やされた濃紺の空を横目に 車は走る

街灯の 極端に少ない山道
数少ない光源の周りで踊っているのは スズメ蛾だろうか
ヘッドライトには
こうべを垂れた稲穂と 彼岸花の赤が 交互に照らされては消える

少しだけ忙しかった 今日の終わりに
あの空間で 息がしたくなったのだ


窓の中に
オレンジ色の電球が見えて
ほっとする
店内へ足を踏み入れると
お客も 店主も 居ない

いちばん大きな机のまん中
一輪ざしの上で
深い赤色をしたコスモスが 背筋を伸ばしているのを見て
思った

今日は大アタリの日―

本棚の本を二冊選んたところで 店主が入ってくる
その瞬間から 三村珈琲店の時間は
ようやく私の息を数える気になったみたいに 動き出した
BGMは大好きなビル・エヴァンス
CDも持っているけれど
ここで聞くのと よそで聞くのとでは大違いだ

私が来てから何分も経たないうちに
私と同じように
夜を楽しみたいお客が
ひと組 またひと組とやってきた

一瞬の貸し切りが 最高の贅沢
けれど
一人占めは 少しソワソワしてしまうので
これくらいが ちょうどいい


注文したのは
栗のクグロフとグァテマラ

栗の渋川煮がゴロンっと入ったバターケーキは 秋の一番のお気に入り
いくつでも食べたい

夏のお気に入りは あの
羽より軽いバニラアイスの乗った珈琲ゼリーで
冬は
生チョコ 今年も出してくれるだろうか
春は…
何だったか
まあいいか 春になってから見つけよう

定番メニューも最高


する気がなかった仕事も
二つほど済ませて
閉店時間ギリギリに 店を出る

ぐぐーっときて香り高く 味がしっかりしている(らしい)
「ケニア」を豆のまま
それから
いちじくのジャム
を買ってかばんに入れて

来る時よりも
もう少しだけ 冷やされた空を見上げながら
しずかに車を出した

店主は いつもお客を見送ってくれる
サイドミラーに店主のシルエットを見て

また
すぐにでも来たくなった












[PR]
by michel-nano | 2014-09-28 12:29 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_14063644.jpg

少し
鬱々としていた

とくに
誰のせい というわけでもなく

多少の引っかかりに つまずいて
昔の 様々な落ち度に
奥歯の 痛いような思いをしていた

このところ


元気になりたくて 行くんじゃない
そういうのには 使いたくない

心を万全にしていくのが
私のマナーなんだけれど

でも
足はそこに向かった


昼間の三村珈琲店は
空気が軽くて
ちょうど今の新緑のような色

なんだか
悪いことをしているみたいな
気まずさで扉をあける


今日は何をたのもう

アイスカフェオレにしようか
あの
白とブラウンの二層の間で
ゆっくりと
心と体を冷やして

それから
甘いチーズケーキで
前に進むエネルギーを補おう

大丈夫

大丈夫

また私のエンジンは
回転数を
保っている









[PR]
by michel-nano | 2014-05-05 14:18 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_10254192.jpg


私が訪れるときは
たいてい人も少なく

もしくは
私が来てから
静かに 静かに なっていく空間

けれど今日は
閉店まで誰かが居た

私のように
3月を
待ちわびた人たちなのだろうか



生花でコサージュを作ろうと
試作を繰り返すうちに
大量の花が家にあふれてしまい
余った花でアレンジと生け花を
合わせて5つ作ったところでギブアップ

ならば笠岡の友達にあげようと
車に乗り込んだ

もちろん
その足で 三村珈琲店に行くのだ



夜も更けて
今日はやめようかな
などと思いつつ

でも

やっぱり
やっぱり

今日しかないと思い
3月終わりの連休まんなかの
夜道を駆ける


私にはめずらしく
カフェオレを注文して(にがくないほうの)
乳白色の器と
レトロで温かい赤色スプーンを
眺めながら
ついでに
定番のチーズケーキを頼んで

閉店まで

そこの空気を吸って過ごした













[PR]
by michel-nano | 2014-03-23 10:39 | 三村珈琲店

三村珈琲店

b0133939_18452414.jpg

その日は急いでいた
夕闇の高速道路はすこし混んでいた

気温は2℃
暗くすきとおった空のむこう
山のすこし上に 満月が顔を出すころ
あの
オレンジ色の灯りが
店の窓から漏れているのを確認して
ほっとする

---三村珈琲店は2月はお休み---

ふと気付いて 慌てて仕事を切り上げ
車を飛ばしたのだ

店内は薪ストーブがほっこりと燃えている
奥の本棚のテーブル席につくと
店主が
席近くの小さめのストーブに火を入れてくれた
私のためだけに である

他のお客さんは
カウンター席に二人いたけれど
いつの間にか帰っていた

ベートーヴェンのピアノソナタ第1番が流れる中
本棚にある文庫本をなんとなしに読んでいると
小さな奇跡に出会う
48ページを開いた瞬間
四つ葉のクローバーがこぼれたのだ
乾いた緑のけっこう大きめのクローバー

誰かがしおり代わりにしたのか
押し花の要領で挟んだまま忘れたのか
分からないけれど

今日という日が
そしてこの空間が
「特別」になる瞬間だ

この奇跡に遭遇しただろう誰かが
きっとそうしたように私も
クローバーをそっと元のページに挟んで本棚に戻す

間もなく
注文していたエチオピア・モカとスコーンが運ばれてきた
スコーンには いつも生クリームと季節のジャムが添えられている
今日はいちじくジャムだった
うちで作るのよりあっさりしていて うるうるしていて
断然おいしい

でも
あれだな

スコーンは誰かと来て
「あちっ」とか言いながら食べるのが
一番いいな

そんなことを思いながら
この空間を一人占めしている優越感と
申し訳なさを同時に味わう


閉店時間まで30分ほどを残して
店を出た
私の後にはたぶん
お客さんは来ないんだろう

私の車を見送った後には
店主はたぶん
ゆっくりと豆の焙煎をはじめるんだろう

月が南中するころまで
[PR]
by michel-nano | 2014-01-18 20:04 | 三村珈琲店